
平成28年8月24日(水)、山形市男女共同参画センターを会場に、第58回 「支援者のつどい」を開催しました。話題となった概要を広く皆様にお伝えします。
ご参加頂きました皆様、ありがとうございました。
※内容が多いため、【第1部】と【第2部】に分けて掲載します。
<参加団体>
コミュニティ支援団体 3
学習支援団体 1
カウンセリング団体 2
中間支援団体 1
情報支援団体 1
調査 1
報道 1
山形市社会福祉協議会
寒河江市社会福祉協議会
天童市社会福祉協議会
米沢市社会福祉協議会
高畠町社会福祉協議会
鶴岡市社会福祉協議会
山形県社会福祉協議会
山形市避難者交流支援センター
高畠町役場 総務課地域防災課
福島県企画調整部 避難地域復興局
山形県村山総合支庁防災安全課
山形県復興・避難者支援室
参加者数:30名(21団体) スタッフ:7名 計37名
■第1部支援活動に関する情報提供
借上げ住宅契約の内容と制度終了の対応について~想定事例や相談対応など~
山形県司法書士会
【住まいに関する意向調査】
・福島県より借上げ住宅に関する意向調査結果が6月20日に発表。県外避難者は3,453世帯65%が回答。回答者のうち県外避難者21.9%が来年4月以降の住宅が決まっており、77.7%が決まっていない。決まっていない人の中では10人中1人は福島に帰り、7人は避難先に残り、2人はまだ検討中。この結果から今後は現在の居住地での生活を継続させていく世帯は多いと思われる。
【現在の契約について】
・契約内容は特殊で契約の当事者は山形県と貸主(物件所有者)であり、入居者は「山形県避難者向け借上げ住宅実施要綱」を守らなくてはならない。
・原状回復に要する費用は県が全額負担する。最初の契約で6万円の支払いしており修繕必要がなくても返還請求はしない。
・仲介業者には山形県が毎年2万円・損害賠償保険を支払い、家賃以外の光熱費・自治会費・駐車場代は入居者が支払っている。
【退去時の対応】
・許可期間途中で退去する場合は退去届けを仲介業者に提出する。
・許可期間満了で退去する場合は山形県危機管理課復興・避難者支援室へ提出する。山形県では許可期間満了の場合は1月10日まで提出をお願いしている。物件を探す場合は年内に探し、1月10日までに退去を決めた方が良い。
・山形県は貸主に対して1ヶ月前までに解約の申し入れを行い、契約を終了する事が出来る。
・入居者と山形県は明け渡し日を1ヶ月前までに貸主に通知し、契約終了日までは物件を明け渡さなければならない。
【原状回復や修繕に関する事項】
・他県では、みなし仮設退去時の原状回復費で高額請求が急増している。
・通常は入居前の状況を借主・貸主・仲介業者3者で情報の共有をし、退去時は入居前との状況を比べて修繕が必要か確認をするが、今回は入居前の情報共有ができていない可能性が高いので、入居前から壊れていたものを退去時に請求してしまうなどのトラブルが考えられる。
・23年8月に国土交通省で「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の再改定版を発行している。今までの判例・民法をわかりやすくまとめている。
・原状回復とは入居者の居住により発生した建物価値の減少のうち、入居者の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の仕様を超えるような損耗・毀損を復旧すること。入居者が借りた当時の状態に戻すものではない。
・通常の損耗は貸主が受け取ってきた賃料でまかない、修繕費用が発生する場合は山形県が最初に支払った6万円の中から使ってほしい。
・損耗が通常の使用で生じる程度を超えない場合、特約で入居者が修繕義務・原状回復を負うか否かは今回の契約内容では特約自体がない。
【争いのポイント】
・退去後に貸主が修繕した損耗が、通常の使用で生じる損耗を超えるか否かが基準で、入居者が破損などを自ら認めたもの以外は、通常の使用による損耗が大半である。
・通常の使用を超えるもの(例:壁のボードに穴をあけた・換気扇の焼け焦げ・たばこのヤニ)などで一部損耗があった場合では、全体を変える必要はなく、一部を直すのが基本である。
【新しい契約について】
・主な想定事例
(1)引き続き居住するにあたり、同じ物件なのに震災前は6万8千円の物件だったので、今後更新する時は6万8千円にする。
(2)4万円の物件を6万円で貸していたので、このまま6万円で貸し続ける。
このような場合はあくまでもお互いの約束になる。当事者の意志になるが、不動産価値のわかるネット情報や他の物件をみて判断をする。
・契約時には保証人が必要になり、保証人がいない場合は保証会社に依頼はできるが、審査をするので、一定収入がない・返済が滞っているなどの理由で利用が出来ない場合もある。
【29年4月以降の支援策】
・福島県からは29年1月から30年3月までは上限3万円の補助・翌年は上限2万円の補助がある。制度は1月から利用出来るようになった。
・新しい契約と原状回復について困った時は、司法書士の窓口があることを避難者に伝えてほしい。
・貸主と敷金や家賃の交渉が折り合わないときは、「山形県司法書士会調停センターハーモニー」まで問い合わせしてほしい。貸主と入居者のトラブルにも双方からの話を聞いて円満に解決する。
■質疑応答
Q・借上げ住宅制度が始まる以前に契約された方が、当時の契約の際に特約があった場合はどうなるのか?
A・以前の契約は平成23年4月31日で終了し、平成23年5月1日から山形県との新たな契約なので、以前に契約した特約は発生しない。
Q・仲介業者に一律2万円支払っていたが、通常料金なのか?同じ物件に住み続けても発生するのか。
A・契約内容が変わるので仲介手数料は発生する。貸主との関係もあるので仲介業者は大切であり、2万円が高いか安いかは物件による。
Q・敷金も発生するが退去時の修繕費用は使用しなければ他の費用に還元されるのか。
A・新しい契約の敷金礼金は別に発生するので6万円が流用されることはない。
Q・入居時に県が契約した内容は全員同じか。
A・契約内容は同じである。
Q・入居前にすでに準備されていた電気製品はどうなるのか。
A・日赤からの電気製品は贈与になるので入居者の持ち物になる。不要なら処分をするか持ち帰る。
Q・司法書士への報酬はどれくらいか。無料相談はどこまで対応してくれるのか。
A・報酬は事務所によって違うが、無料相談の際に伝えることができる。
・司法書士総合相談センターでは有料の相談も受けられる。法テラスも収入要件にあてはまれば無料。